IT化するときは、ネットショップや業務の効率化、新規事業の創出など多方向に利用できます。目的を明確にして取り組むことが大事です。

実現したいことをまず明らかにする

ITを活用すれば、事業を拡大できるのではないかと考える経営者の方も多いのではないかと思います。

IT化によって事業を拡大するといってもさまざまなアプローチがあります。

よくあるのが、自社のサイトを持って商品を検索されやすくすることや、ネットショップ(ECサイト)を作って販売するというアプローチです。

企業としては検索で見つかることは重要ですし、それにより販売が伸びる可能性もあります。

しかし、自社のサイト作ってもネットで検索されることで集客につながるケースはそれほど多いわけではありません。

またECサイトを使って売るのに適した商品かどうかということも重要になります。

サイトを作るということの他にも、社内の仕組みをIT化することで効率化する方法もありますし、自社が抱えている技術をIT化によって別の技術に転用することも考えられます。

いろいろなアプローチが考えられる中では、何を目指したIT化なのかをまず考える必要があります。

IT化のゴールを設定する

何のためのIT化なのかを決めるためにも、今のビジネス課題を明確にする必要があります。

売上が落ちてきているので販路を拡大したいのか、売上はあるけれど対応が追いつかないのか、新しい商品がないといけないのか、そういったビジネスのゴールを明確にする必要があります。

その上で、適したIT化を選ぶ必要があります。

そのとき考えないといけないのは投資と回収のことです。

IT化には投資が必要です。いくらクラウドで安くなってきているとは言え、無料で作れるわけではないのです。

たとえば、ネットショップを持つといったって、ネットショップを構築するということだけでなく、申し込みを処理する、梱包して配送するなどの処理が必要になります。

これまで電話やメールで受け付けていたのだとすると、ネットからの申し込みにより受注量が増えることにより、処理するための専任のオペレーターが必要になるかもしれません。

ネットショップを構築すると、24時間問題なく動くことが保証されているわけではなく、障害が起きて注文ができないなどの事態になれば一大事ですから、すぐに対応が必要になります。

障害で申し込みできなかったお客様への対応も必要になります。

そういったものはすべてネットショップに付随する新たな作業となりますし、そのための投資も必要なのです。

投資をするとなれば、その費用が回収できるかが大事になりますから、どういうビジネスプランを描くのかということを忘れてならないのです。

ネットショップを作ってもすぐには売れない

ネットショップを作ったら翌日からすぐに注文が舞い込むかということ、そういうことはありません。

商品が知られて検索されるようにならないといけませんし、検索されても魅力的な商品でないならば全く売れないことだってあるのです。

ネットショップは、商品の魅力があったり、検索する人の目に触れるようになってはじめて売れるのです。

検索する人の目に触れるようになるのは、グーグルの検索で上位にいく必要がありますし本当に大変です。

検索で上位にいくには時間がかかりますし、それなりに質の良い記事を提供せねばなりませんから時間がかかります。

それでも集客するためには、検索しているキーワードを選んでリスティング広告を出す必要があるかもしれませんし、アフィリエイターにサイトを作って集客してもらうことも必要かもしれません。

それだけではありません。

仮に集客できてアクセスはあっても売れない状況は起こります。

サイトが使いにくかったり、商品に魅力がないなどの理由によるのです。

ネットショップを作ればすぐに売れるというのは幻想です。売るための戦略をしっかり立てないといけないのです。

自社サイトは検索用ではない

自社サイトを作り自社のサービスや企業情報を掲載しますが、これらが検索によって引っかかることはほぼありません。

これらのサイトは何のために作るかといえば、ビジネス上知り合った人が名刺やメールの末尾に書かれている企業のURLを見ることでアクセスに来ます。

検索で自社サイトを見つけてくれるのは、名の知れた大企業なのです。

これらは、自社のサービス内容をわかるように詳細化して書くのです。

それ以上の目的はありません。

検索で見つけて欲しいのだとすると、それは商品を売るためのECサイトや商品の詳細を書いたLP(ランディングページ)がその役割を持つのです。

ITで効率化する

IT化とは必ずしもネットショップだけではありません。

社内の仕事の効率化にも使うことができます。

たとえば、会計処理や人事処理などにクラウドサービスを使うことも一例です。

汎用的な作業であれば、こういったクラウドサービスで効率化できるでしょう。

それ以外にも、自社独自の作業であっても、自動化により効率化することができます。

毎日売上が上がったものを人手で何100個もエクセルに貼り付けているとか、お礼のメールを何10通も送信するとか、データの付け合わせをしなければいけないとか、こういったことの中に自動化して効率化できる可能性があるのです。

こういうのをRPA、ロボティクス・プロセス・オートメーションと言います。単純にいえばロボット化です。

面倒なことはコンピューターにやらせてしまいましょう、ということです。

こういうことも社内の作業を効率化し、浮いた作業時間を新しい作業時間に充てられるのです。

ロボット化は単に時間が早くなるだけでなく、間違いも減らせられるので仕事によってはとても効果が高いのです。

ITで新しい事業を作る

最後になりますが、IT化で新しい事業を創造することも可能性としてあります。

自社の技術を新しい事業に転用することですが、このときにもIT化と組み合わせることで意外なものができることがあります。

これは簡単なことではありませんが、事業拡大のひとつの方法です。

組み合わせるのはITだけというわけではないのですが、自社しか持っていないノウハウをWebサービス化することで他に困っている人たちが使えるようになりますし、人工知能による分析を加えることで人の感覚に頼った分析が正確になるのです。

ITの知見を持ち、それをビジネスと組み合わせることで付加価値が出せるようになるアイデアが出せれば、新しい事業に結びつけることも不可能ではないのです。

そんな風にITを活用しましょう。