プロジェクトを進めるとき、外注の力を頼りにすることはとても大事なことです。

言うまでもなく、プロジェクトの完成に必要なスキルを持った人材を自社で抱えることはコスト的にペイしませんし、コストを度外視しても人材確保は難しいのが現状です。

そこで大事になるのが、必要なときに必要な人材を確保する外注(アウトソーシング)になるわけですが、外注が成功するためには乗り越えないといけない壁が小さくありません。

自社にスキルがないから外部に丸投げすればすべて解決する、もしそのように考えているのでしたら大間違いです。

外部の委託先が主導的に仕事をしてくれる例は、よほどお金を積んで「コンサルタント」を雇わない限りありません。

プロジェクトは常に、企画した発注元が主になって動かしていくしかありません。

外注先は、プロジェクトを進めていくときに発生するさまざまな問題を解決してくれる頭脳であり、手を動かしてくれる作業者なのです。

発注元が回していかなければ、プロジェクトとしては進みません。

このように、プロジェクトの成功のために発注元の責任というのはとても大きいのです。

その点を意識して外注を上手に活用することが求められます。

依頼作業を明確にする

外注するとき最も大事なことは、「何を頼みたいのか?」を明確にすることです。

外注に頼る理由は、プロジェクトを進めて行くための「スキルが足りない」「作業工数が足りない」という要因がほとんどだと思います。

ところがそのときに「プロジェクトの支援をお願いします」と頼んだのではざっくり過ぎて、支援する側もポイントが絞れません。

ポイントが絞れなければ、考えられる作業すべてを見積もるので、費用が予算を大幅に超えることも少なくありません。

要求がぼやけるほど見積金額は上がるものです。

それを依頼元が想定している金額にしていくためには、作業内容を一つ一つ具体的にしていくことが必要になるのです。

そして、作業を明確にしておくことはプロジェクトが進んで行く途中や成果物の作成にも、役割が明確になるのでとても大事なことなのです。

見積もりにないことはすべて追加料金

契約時に決めた作業内容は、それ以降の作業のすべての源になります。

プロジェクトマネジメントを依頼するのであれば、たとえば

  • 「開発計画書を作成する」
  • 「毎週行われる○○会議に出席する」
  • 「開発の進捗を確認し、進捗報告を毎週××に行う」

といったことをきちんと取り決めしておくことが必要です。

発注側は、プロジェクトマネジメントとは「毎週進捗報告するもの」と思っているかもしれませんが、受注側はそういう認識がないかもしれないのです。

進捗管理ツールに記載するからそれを見てくれと思っているかもしれないのです。

そういうところをはっきりさせておくことが重要になります。

プログラムの開発であれば、

  • 「仕様書・設計書・コード・ビルド設定・評価結果を納品する」
  • 「仕様書・設計書・コード・評価仕様書を委託先がレビューする」

といったことまでも明確にしておくことです。

これらは開発する際には必要になる作業ではありますが、文書として作成するかどうかはわかりませんし、レビューすることも必須としていない可能性もあるのです。

ですので、契約時に合意しておくことが大事になるのです。

これを開発の途中で追加すると、「契約にないから追加料金です」と言われても文句は言えないのです。

もちろん、委託先との関係で対応に違いはあるでしょうが、依頼したい事項を明確にすることはとても大切なのです。

見積額を超える作業になることを防止する

外注との関係で特に気をつけたいのは、「見積もりを大幅に超えるような変更が発生すること」です。

このようなことは、実現したいことが明確になっていないプロジェクトの場合に起こりがちです。

プロジェクトを進めていって、やりたいことが明確になり仕様を具体化する段階で、当初の想定より大きな仕様になることがあります。

こうなった場合、費用の追加ができればいいのですが、昨今の企業の事情で追加が難しい場合もあるでしょう。

あるいは、ずるずると料金が追加されることに納得がいかないケースもあるでしょう。

こういったことが想定される場合には、最初からすべての見積もりをしないで、ある程度分割しながら契約していくことも大事です。

要求を明確にするまでを第1段階とし、その要求に従って開発にかかる費用を見積もりする第2段階、あるいは第3段階を設けるなどです。

そうすることによって、金額が想定外に増えることを防ぐことができます。

これはお互いにとってハッピーなことです。

発注側はどんどんプロジェクトの費用が膨らむリスクを抑えられますし、受注側は見積もり以上の仕事になってしまうことを防ぐことができるのです。

このような対策をしながら、プロジェクトの価格をしっかり抑えていくことが大事になります。