IT化するとき、社内に担当できる社員がいれば良いですが、中小や零細企業ではそのような人材はいないことの方が多いでしょう。

仮に社内にITに詳しい人がいても、ITのスキルとは多方面にまたがりますので、やりたいこととスキルが一致するとも言えないでしょう。

かといって、できる人を採用したり社内の人材を一から育成するのでは、時間もコストもかかります。

そこで多くの場合、外注に頼もうということになります。

でもそこで問題が起きます。

どこの会社に頼めばいいのか、いくらくらいかかるのか、本当にやりたいことができるか、といったことが心配事として出てきます。

残念なことに外注先の選定はかなり難しい作業です。

実際には外注するためには結構スキルがないとやれないのが現実です。

そこを心得ておく必要があります。

外注先に丸投げしては解決しない

仕事を誰かに頼むとき、どういう結果を得たいかを正しく伝える必要があります。

あなたが社長であれば、今後会社をどういう風にしたいからどうしてくれ、と伝える必要があるように、依頼先が社員であっても、派遣社員であっても、外部委託するベンダーであっても仕事の結果として得たい形を正しく伝える必要があります。

外注に頼むとき、「こうしたい」ということだけ伝え、後は放置状態になる人も実は少なくありません。

やりたいことは伝えたから、後はうまくやってくれるだろう、そういう考え方なのですね。

ところがこれでは多くの場合期待する結果を得ることができません。

機能しない理由は、「こうしたい」ということばを発した人と、そのことばを受け取った人の解釈が完全に一致することなどほとんどないからです。

発注者は自分がやっているビジネスに対して詳しく背景情報も豊富なため、それらの情報を前提に話をします。

ところが、受注者はビジネスへの理解が発注者ほどにはないので、同じことばを使っても理解に違いがあるのです。

発注者が本当なら説明しなければ伝わらないのですが、それがすっぽり抜け落ち、発注者も受注者も情報のズレがあることに気づかないのです。

解釈の違いは、その後作られる資料やIT化の説明資料に現れてくるのですが、その資料が出てくるまで気づかないということになります。

それを防ぐためには、都度都度自分が考えていることが伝わっているか、適時のタイミングで確認していかないといけないのです。

実現したいことが複雑になっている今、発注者こそがしっかと実現したいことを描かないと、間違ったものができあがる可能性があります。

決定を下すために情報を求める

発注遮がしっかりと進めないといけないといっても、何もかも発注者が決めるわけではありません。

知見がないからこそ外注先のスキルを活用するのですから、受注者が持っているスキルや情報を提供してもらい、それらの総合して決断を下すのは発注者の役割です。

役割というより責任と言った方が良いでしょう。

自分で判断を下すとき忘れてはいけないのは、委託先が期待通りの方向に進んでいるかをきちんとチェックすることです。

進捗がどうかの方が気になるかもしれませんが、その方向が間違っていないのか見ることが必要です。

たとえば、当初の想定の通りに行かなくなったときに対応策が示されたとき、それは本当に自分が期待する宝庫に進んでいるのかどうかを判断して決断を下さないといけません。

説明を聞いてもよくわからないから判断を外注先に任せた、というようなことではいけないのです。

技術者の説明は専門用語を使ってわかりにくかったり、発注者にとってのメリット・デメリットをうまく伝えられない傾向にあることは否めません。

だからといって、お金を払い成果を求める発注者を理解させられないようでは、受注側も失格なのです。

発注者として納得がいく答えがもらえるようにしましょう。

早く判断してくれないと遅れる、などと言われても、「必要な情報がないから判断できない。わかるように説明して欲しい」ということを伝えることも大事です。

外注先とはパートナーの関係で

発注者と外注先の関係は、多くの場合外注先が下になりがちです。

お金を払ってもらう立場だからです。

お金を払っているのだから、言ったおりやるべきだという態度ではいけません。

反対に、発注者がよくわかっていないと外注先のいいなりになるケースもあります。

どちらのケースもよくありません。

外注先とはいい意味で良いパートナーになるべきと思います。

両者の協力関係で作り上げていくという関係です。

発注者の方が要求を持っていますし、決定権もあります。

その要求を実現し、その結果気持ちよくお金を支払える、そんな仕事ができれば最高です。