チャットは楽だが正しく伝わらない
昔から、電子メールは便利でいいけれど、ニュアンスが伝わらないとか、細かい話を伝えることより直接の対話の方が早いというのはよく言われることです。
テキスト(文章)で正確に相手に伝えるのは難しいです。
「○○してください」と書いたときに、どんなトーンで言っているのかなかなか伝わりません。
そのために、顔文字を付けたりする努力が必要になることもあります。
書いた方はやさしく言っているつもりでも、聞いた方はそうは捉えられないことも多いのです。
もちろん、口で伝えるのも同じで一度で正しく思いが伝わることはないですが、文章の場合書けば書くほど伝わりにくくなることもあります。
チャットになろうとそれは同じです。
チャットはメールよりも短い言葉で伝える文化になりがちですが、これもまた誤解を生んでしまうことがなくせません。
結局のところ、直接話した方が伝わりやすいということが起こります。
エンジニアだとどうしても電子メールやチャットで終わらせたいと思いがちのところがあるかもしれませんが、直接話し合うことを忘れないようにしましょう。
オンラインは対面より感情の注入が少ない
コロナの頃に、テレビ番組でオンライン会議のデメリットを解説していました。
オンラインでは相手から受け取る緊張感とか感情といったものが対面よりもずいぶん少なくなってしまう、というようなことが数値で示されていました。
対面がなくなってやる気が出ないとか、うつになってしまうなどの問題を起こす人が増えたわけですが、これにはちゃんとした理由があって、オンラインでどれだけ人と対面して話してもリアル感が薄くなってしまうんだそうです。
僕自身、オンラインの仕事が増えた結果、ちょっとした雑談をする機会が少なくなったり全くなくなってしまい、心がウキウキするような場面が激減したと感じていました。
それを裏付けるような調査報道番組だったのです。
ツールで「テキスト」を受け取って相手がこんな感じで言っているんだろうな、と想像できるくらいの近い人ならともかく、そうでない人なら相手が言っている「テキスト」は人間味を感じにくいです。
メールで隣の人とけんかする??
僕が働いていた会社で、「隣の人とメールでけんかしている」という話題が上がりました。
隣の人と意見を言い合っているのですが、もちろん二人だけでやり合っているのではなく、その他の何人かにccで送られているメールの中でけんかしているのです。
もともと複数人で議論していたのですが、ある問題についての議論がその二人で白熱してしまったことで意見の応酬となってしまったのです。
どちらも「みんなが読んでいる」前提で書いていますから、簡単には引き下がれない気持ちもあるし、納得できない部分もあり延々とやりとりが続くわけです。
しかし、多くの場合主たる議論から外れてしまい、時に揚げ足取りになりかねないみっともないやりとりになることもあります。
こういうとき、介入して解決を試みたことはありますが、なかなかうまくいきません。
本当の意見の食い違いの部分について直接話せたらさっと解決するのに・・・と僕は思います。
メールでの意見の応酬は結構時間を食いますし、無駄にエネルギーを浪費します。
そんなことよりさっさと話して誤解があるなら解く、意見の食い違いを直接話して解決する、相手の意見を受け入れる、という方が早いです。
直接話すことを大事にする
リモートワークが当たり前になって、チャットが当たり前になる中、どうしてもテキストベースのコミュニケーションに頼りがちです。
しかし、残念ながらテキストではちゃんと伝わらないことは多いものです。
しかも、書けば書くほど伝わらない。
なぜかと考えると、書き手がこういうことを知りたいんだろうと思うことと、相手が求めることが必ずしも一致しないことが多いからです。
それなのに、文章でがーっと一気に書くと、相手が求めているものとズレたまま書き続けることになります。
そうすると、読み手としては知りたいことが書いてないのでサーッと読んだり、本来意図しないところが気になって本質とは外れたことの議論に進んでしまうことになりかねません。
書き手からすると「ちゃんと読んでいないだろう?」という気持ちにもなります。
こうやって話が食い違ったままエスカレーションしていきます。
ところが、対面で話をすると「その前に○○のことについて聞きたいんだけど」と、一方が話し続ける前に話のズレを解消することができます。
一方が説明し、他方が質問する、を繰り返すことでズレをどんどん小さくできます。
電子メールやチャットでどうもかみ合わないと思ったら、早々に直接対話に行く、これを大事にしてください。
まとめ
エンジニアの中には、「直接言ってくるんじゃなくてメールでちょうだい」とか、「打ち合わせなんかしないで決定事項を送ってくれたら効率的」という考えをする人もいるでしょう。
ただ、アナログ的とは言え、直接の対話でしか得られないことも多いです。
相手の思いや熱量、こちらに対する配慮や思いやり、深刻さや重大性など、メールやチャットで書いたらなかなか伝わらない感情的なものが多く得られます。
相手に自分の考えを伝えるように文章を打つのはとても考えますし、時間がかかります。
話して済ませられるなら、なるべくそうしましょう。