一人で解決しようとするな
ついつい人は自分で解決しなければ、と思います。
人に手伝ってもらうのは「恥」
とまではいかないにしても、簡単に人に頼れない気持ちもあると思います。
ところが、リーダーともなれば人を活用することがとても大事になります。
人を活用することで、自分でできる範囲を大きく超えることができます。
三人寄れば文殊の知恵といいますが、人が集まることで知恵どころではなく労力が生まれ、スキルが集まり、その結果高速なスピードで、質の良い仕事ができるようになります。
しかし、うまくやらないと労力やスキルがうまく活用できず、質やスピードが高まりません。
その辺りがどんな仕事をどういう風に任せるか、リーダーに求められる力量と言えるでしょう。
Aさんにあなたの考えを文書化するスキルがあり、Bさんは顧客への提案力があるなら、AさんとBさんであなたの代わりができるかもしれません。
いきなり満足できる結果は出ませんが、まずは任せて自分の仕事の一部ができるような部下を育てましょう。
大変な仕事ではないよ、ハードルを下げる上司
かつての上司にとても人当たりのいい人がいました。
やさしい話しぶりだし、いろいろ話も聞いてくれて共感もしてくれる、部下から見れば理想的な上司の一人でした。
ところが、仕事の経験も増えその人といろいろな仕事を繰り返していくうちに見えてきたものがありました。
それは、「仕事を任せるときに、どこまでやってほしいという期待値をちゃんと言わない」といくことです。
例えば、炎上するプロジェクトの支援を求められたとき、彼が言ったことは
「1〜2週間手伝ってくれ!」
でした。
聞いた瞬間、炎上プロジェクトの支援が1〜2週間で終わるわけがない、少なくとも2〜3ヶ月は必要だろう、プロジェクトの経験があればそんな短期で終わるわけがないことは明らかです。
案の定、そのプロジェクトは半年以上かかり、かつその間毎夜深夜まで働かざるを得ませんでした。
他にも「外部との協議会に参加してほしい。行くだけだから」
というような話もありました。
ところが、いくだけの仕事なんてあるはずはなく、毎週宿題を抱える状態。
そんないくつかを経験するとその上司がやりたいことは、何とか担当を任命することであって、負荷とかその仕事の目指す成果が見えていないことでした。
言葉の響きよく気楽に参加したものの、評価のされない仕事が多く、この人との仕事は後悔することが多かったです。
マネージャたるもの、仕事をどこまでやってほしいか、それを見極めて依頼してほしいものです。
期待値を明確に伝える
このマネージャの問題点は、やってほしいことを明確に伝えてないことです。
炎上を何とかしたいのであれば、「今このような状態で、ある程度落ち着くまでPM補佐として専任でやってくれ!」というような、役割とゴールを明確にすべきだったと思います。
同じ仕事でも、「とりあえず作業を手伝ってやってくれ」というのと、「PM補佐で」というのでは役割が違いますし、1〜2週間の腰掛けとするのか、落ち着くまでと明確にゴールを設定するかによっても気持ちの入り方が違います。
実際、プロジェクトに関われば関わるほど炎上具合が見えてきて、これはにっちもさっちもいかないということが見えてきました。
要するに、仕事を頼むときは、「ここまでやってね、それを期待して人選したんだからね」というようなことを伝えてほしいと思います。
もちろん炎上したプロジェクトの現状を把握もせずに、とにかく人の投入ということも少なくないのですが、そんなことでは人的資本の無駄遣いですね
適材適所がチーム力を高める
新しい仕事を立ち上げる必要があるとき、いつもなら自分の役割だから、いつものように自分でやろうとせずに、一度考えてみる必要があります。
ぜひ誰か別の人に任せてみるということを考えてみてください。
会社の仕事は複数のことが並行して走るので、新しい仕事を始めたいときにいつも最適な人材が待機していて充てられるわけではありません。
「自分でやるしかない」と考えるのではなく、今までやっていない役割を経験させることでスキルアップの機会を与える、という考え方が必要です。
そうすることで、自分の分身とまではいかなくても、似たようなことができる人を育てることができ、自分だけなら1しかない仕事量が、1.5倍や1.8倍に増えるのです。
また、部下って自分がどんな仕事に割り当てられるかで「自分が組織内でどのくらいの立ち位置にいるか」を判断するものです。
「私にこんな仕事が回ってきた」
と期待されることがわかればやる気もアップします。
ぜひ自分の分身を作るつもりで、一段上の役割の仕事を与えて欲しいと思います
それがゆくゆく自分を救うことにつながります。