人工知能を使おうとした場合、コンサルタントが最初にすることは何かといえば、「AIで何を改善したいのですか?」ということになります。

「AIで」といってもこの段階ではAIで何ができるかはわかりませんが、まずは

「何を改善したいのでしょうか?」

ということになります。

AIは何でもできそうに聞こえるけれども、実は万能でもなんでもありません。

AIを作り上げたらその業務のためには強力な助っ人になりますが、

「業務に特化した頭脳に育てる」必要があるのです。

そして、がんばって育てた結果、「人よりべらぼうに高速なスピードで、そこそこ正確な判断ができるようになる」ということが期待値です。

どんな業務をAIにさせるのか、その見極めが大事になります。

 

人工知能プロジェクトの進め方

人工知能に限らず、何かシステム開発や業務改善をするプロジェクトを進めるとき、「何をどうしたいのか?」というゴールがもっとも大事なことです。

そのゴールが明確になっていないと、プロジェクトを進める際にもブレたり間違った方向に行く可能性があります。

ゴールとのズレがあることに気づかずにいると、プロジェクトが終わろうとしたときに「それは私が求めたのものじゃない」というようなズレが発見されてしまいます。

ですから、プロジェクトには「このプロジェクトのゴールはこういうことです!」という共通理解が絶対必要になります。

 

プロジェクトとは、複数人が関わる定型外業務すべて

少し横道にそれますが、プロジェクトって何でしょうか?

プロジェクトというと「何か特別な目的を持った仕事」のように感じるかもしれませんが、そうではありません。

プロジェクトとは、複数人が関わる仕事のうち、「定型の業務でないものすべて」を指します。

こう聞くと、職種によってはほとんどがプロジェクトだって思う人もいると思います。

過去と同じような方法でできないものは、必ず新しい方法で問題を解決していかないといけないので、そのときそのときのやり方で答えを見つけることが必要です。

それがプロジェクトなのです。

 

ゴールが達成されたときの姿を定める

一番最初の段階でプロジェクトのゴールを決めることができたら、次はそれを分解していきます。

どういう状態がそのゴールを実現できたと言えるのか?

まずはそれを具体的に定義していきます。

作業効率を高めたいのであれば、誰のどういう作業がどうなればいいのか、を決めるのです。

たとえば、図面の検査をしている人がいるとします。

今は1日に2枚しか検査できないとします。

でも、仕事はどんどん増えており、設計が遅れる要因になっていて、改善が必要。

しかも、専門的なスキルが必要なので、単純に人を増やしても解決できない。

検査スピードを何とか3倍にしたい

というようなことです。

このときのゴールには、合理的かつ定量的な目標が必要です。

「できるだけ速く」というのはとても抽象的で、あとで検証しようにも実現できたのかわかりません。

2倍にしたから速くなったと言える場合もあれば、10倍速くならないと速くなったと言え場合もあるでしょう。

何が求められる結果か、数値で語ることは大事です。

その目標次第では、比較的簡単なAIでも実現できるのか、新しいロジックのAIを作り込まなければならないのかなど、対応が違ってくるのです。

お客様を待たせている日数を半減が求められているので、そのためには検品スピードが3倍にすることで解決する、というような数値で示された目標が望ましいです。

 

AIで解決できる部分の見極め

図面の検査スピードを3倍にしたいと決まったら、今度はどこにAIによって改善できるところかを見極めていきます。

そのためには、図面を検査するステップを一つ一つ追いかけていきます。

この辺りからはAIコンサルタントの本当の出番になります。

AIによる改善ポイントはいくつか出てくることになります。

AIの改善ポイントを探すためには、作業を具体的なステップで出していく必要があります。

各工程の一つ一つの作業を追いながら、どの作業が改善効果が高くて、AIにも比較的安価で代行させられるか、ということが見極めるポイントになります。

非常に効果の高い改善ポイントを見つけたとしても、その仕組みをAIで実現するのに相当の投資が必要になる場合だってあるのです。

そのためにも、どのようなゴールを目指すのか?という視点を忘れずに選択していくことを随時思い出して選択していくことを忘れてはならないのです。