エンジニアの上流工程といえば、要件定義くらいからですが、お客様課題をつかむためにはマーケティングへの理解が必要です。経済新聞や経済誌などから世の中の動向などをつかむことが大事です。

要求把握が必要なわけ

エンジニアにとって、要求を把握することはもっとも大事な仕事のひとつです。

要求って平たく言えば、「お客さんが実現したいと願っていること」ということになります。

お客さんの希望に添ったものを仕上げなければ、お客様の満足は得られません。

注文したとおりのものが作れていればまずは「納得」してもらえます。

ところが、お客様が望んでいたような結果が出なければ「満足」が得られません。

例えば集客がうまくいっていないというお客様に、SEO対策しましたとかメルマガ登録の仕組みを入れましたといくら言っても、集客につながらなければ意味がないのです。

満足されなければ、最悪そのための代金が支払われない事態だって起こりうるのです。

そういうことを防ぐためにも、お客様の要求を把握することはとても大事な仕事なのです。

わかった気にならないこと

お客様の要求をしっかりとつかむためには、「わかった気にならない」ことがとても大切です。

1を聞いて10を知る、というようなことは要求把握の段階ではやってはいけません。

「お客さんがお望みなのはこういうことですね」と勝手に思い込んではいけないのです。

1を聞いたら、そこから質問して聞き出し自分の知識も総動員して、10の正しい情報を積み上げていく、この意識が大事です。

お客様が本当に望んでいることは何なのか、わかった気にならずにちゃんと聞き出しましょう。

お客様の本当の課題をつかむ

お客様の要求を聞く中で、忘れてはならないのが、お客様の本当の課題は何かをつかむことです。

お客様が「HPを作ったんですけど、なかなかアクセスも増えず売れないんです」と言われたときに、「SEOがうまくいっていないんだな。これで押していけば仕事が取れそう」などと心の中で思いながら思ってはいけないのです。

「それはどういうことなんですか?」とお客様に現状を話してもらうようにしましょう。

アクセスの現状を知る必要があるでしょうし、どんな商品を売っているのか、そして売るための仕組みはどうなっているのか(ECサイトなのか、メールや電話での問い合わせなのか)などをまず知らないといけません。

それに対して、これまでどんなことをしてきたのか、売れないということは売りたい数があってそれが未達ということなのか、など深掘りをしていきます。

少しずつ深掘りしていって、本当の課題をつかむ必要があるのです。

そうしないと、仮にサイトへのアクセス増を狙うSEO対策をすることになったとしても、その結果こうなりたいというお客様の希望に対する対策が打たれない、もしくはその結果につながらなければ、お客様としての納得度が高くならないからです。

だからこそ、お客様が抱えている課題をつかむことが大事なのです。

マーケティングへの知見を広げる

エンジニアがお客様の要望を聞くとき、技術的要望になっている場合は対等に話ができるのですが、経営上の課題などであればそれをどう自分の技術力で課題解決するかがわからずに、聞くだけになることも多いでしょう。

それではお客様が自覚している問題への解決にはなりますが、お客様が気づいていない課題の解決につながりません。

エンジニアは単に技術的課題の解決のために技術力を提供するだけではなく、お客様の課題を理解しつつ解決の提案をできるようにすることが必要です。

そのためには、開発作業における上流工程、すなわち要件定義ができるということだけでなく、マーケティングへの理解を深めてお客様と経営課題であっても話ができるようにしていくことが必要です。

お客様の課題を理解して、自分(自社)の技術力でこう解決できる、ということをつなげていく必要があるのです。

マーケティングの知見の広げ方

エンジニアがマーケティングへの知見を広げるのはかなり難しい作業になります。

マーケティングの知見を広げるといっても、マーケティングをするわけじゃないのです。

ですから、「エンジニアにとってのマーケティングとは?」とは「3C」とはのような手法を学ぶことではなく、市場を見る、経営の観点からサービスを捉えるという目を養うことが大事です。

日経新聞や経済誌を読んで、世の中の動向を見ることや、新しいビジネスの発生などに目を配るのです。

たとえば、ベンチャー企業がこんなサービスをはじめたという記事を見たときに、これによってどんな問題が解決されるのか、利用者はどんな人で、どのくらいのニーズがあるのか、というようなことを考えてみるのです。

そして、そのようなビジネスの発想が自分にはなかったのだったら、そういう発想ができるようになるために、身近に似たような課題から新たなビジネスが発見できないか考えるなど、日々訓練するのです。

そうやって技術一辺倒ではない知識が技術者としての幅を広げるのです。