お客様の困りごとを聞き出す重要性
エンジニアが最終的に実現すべきことは、お客様の困りごとを解決することです。
そのためには、お客様の困りごとをしっかり把握することが非常に重要になります。
これができていないと、作るシステムがお客様の要望に添ったものにならない可能性が高いからです。
ところが意外と、お客様の困りごとは見えていないケースがあります。
お客様からこういうことを実現して欲しという要求は出てくるので、お客様が実現したいことはわかるのですが、その裏にどういう困りごとがあるのか意外と知らないことが多いものです。
どうしたら困りごとを聞き出すことができるのか、いくつも言われることがありますが、ここでは2つのポイントに絞って行きたいと思います。
相づちを打ったり同意して相手に話させる
お客様との会話ですので、片方が一方的に話す状況はよくありません。
困りごとを効く段階では特に、8割方お客様に話をしてもらうくらいのつもりで向き合う必要があります。
そのためには、お客様の困りごとをとことん聞き出す、そういう姿勢で臨みましょう。
お客さんが「こういうことに困っているんだよね」と言い出したとき、それは把握のための第1歩になりますが、そこからいろいろな話しを深掘りして聞いていくことが欠かせません。
そのためには、「そうですか」「なるほど」、時に「おっしゃるとおりですね」というようなフィードバックを返しながら、相手に「うちはこんなことに困っているだよね」と話しさせることが大事です。
人は自分の悩みを理解してくれない人にはあまり話しをしません。
皆さんもそうですよね?「野球のあのチームを応援しているんだ」などとうれしそうに話されても、自分が興味なければそれは相手にも伝わり相手はその話をしなくなります。
それと同じで、自分の困りごとを「ふんふん」と興味を持って聞いてくれる人にはいろいろと話しをしてくれます。
相手が気持ちよく話せるようにする、そういう風に話をしていきましょう。
質問を混ぜる
聞くことはとても大事ですが、ある程度話しが見えてくると、今度は疑問も沸いてきます。
これってどうなっているのかな?
どうしてこういうことをしないのかな?
などなどもっと深く知るための疑問が出てきたらそれを少しずつぶつけていきます。
そうすると、より一層詳しく説明してくれるきっかけになります。
例えば趣味の話しでも「そのテクニックってかなり難しいですよね?どうやって習得したんですか?」などと聞けば、「それはな・・・」と得意満面で話してくれることになります。
困りごとも同じで、相手が「よくぞ聞いてくれた!」と身を乗り出すような質問ができると、話しはさらに深まって行きます。
そうやって、少しずつ核心に迫っていきます。
もちろん、その中には取り組もうとしていることと直接関係のない話題も出てくるかもしれませんが、そういった話題もどこかでつながる可能性が出てきますから不思議です。
そんな一見関係なさそうな話しも聞いておいて損はないのです。
解決方法を話すな
僕たちエンジニアは困りごとを解決するのが仕事なので、お客様の困りごとを聞きながらも解決策まで考えてしまっていることが少なくありません。
ついつい「その課題にはこういう方法があります」などと言いたくなる気持ちはあるのですが、それをグッと抑える必要があります。
ある程度話しが進んでくると、解決方法の提案も入れてどういう対策がいいのかを絞り込んでいく必要はあるのですが、あまり早い段階での解決方法を例示していくのはうまくありません。
なぜなら、解決策の話しをすると、困りごとの話しが中断してしまって、最後まで聞けていないこともあるからです。
お客様も話したいことがあるのに中断された印象を受けることもあります。
また、困りごとの全容を理解しないうちに解決策を考えると、解決方法が適切ではない可能性がありますし、その考え方に引っ張られてしまう懸念もあります。
この段階はお客様の困りごとをしっかり聞き取る、それに集中しましょう。
困りごとを整理する
そうやって困りごとの話しを聞いていくのですが、すべての話しが一気に出てくることはありません。
聞いた話を整理しながら、新しい質問を出していく、そしてまた情報をアップデートして整理していく、その繰り返しです。
最終的にはお客様の困りごとが解決しているということが実現したいことですから、解決したい困りごとを明確にすることは欠かせません。
困りごとが明確になるとそれでいいかと言えば、そこから今回解決したい「要求」にまとめていく必要があります。
困りごとが多く多岐に渡れば、それをすべて一度に解決することはできないかもしれません。
そこで、今回実現する要求を明確にするというステップに進みます。
聞き方のまとめ
困りごとを聞き出す段階での聞き方をまとめると、
- 同意や質問など適度なフィードバックを返す
- 自分の判断を加えない
ということが大事になります。
相手に気持ちよく「困りごと」を話してもらう、それに徹して聞き役に回るということですね。