技術ばかりに注力すると失敗する
エンジニアとして技術を磨くことは不可欠ですので、ついつい技術ばかりに目が向けがちです。
しかし、本当に技術者として成功したいなら、経営やマーケティングなどの知識を持つことが不可欠です。
なぜかといえば、お客様の課題を理解しないでお客様の望むようなものは作れないからです。経営やマーケティングの素養がないと、お客様の課題を正しく理解できないことが多いです。
お客様の困りごとの理解が足りないと、「要求仕様」だけ見てを作ることになり、結果的にお客様の困りごとを解決できないシステムを作ることがあります。
そこで経営の本を読む、マーケティングについて学ぶことで、お客様の困りごとにまで目配りしたり、お客様の課題をより現実的に理解できるようになります。
これがあってはじめて、お客様の望むシステムを作れるようになります。
言われたように作って失敗した日々
僕がプログラマとしてシステム開発に携わっていた頃、こんなことがよくありました。
見積もりしたら納期に間に合わない、納期短縮は難しく、納期の延期も了承されない。
何とか、目標の納期に間に合うようにしなければならない、という状況に追い込まれたとき、開発チームは納期に間に合うように機能を削減して納期に間に合うように調整を始めました。
各機能の見積が出ていますので、どの機能を減らすとどのくらい工数が削減できて納期に間に合うかをシミュレーションしていきます。
そして数字上ちょうど良くなる機能の削減を提案していきました。
その結果、目標の納期に提供することはできましたが、使うお客さんからは期待通りのものではないと苦情が来ました。
問題は現場での使われ方を考えずに、納期に間に合うような機能を削ったことでした。
こういうプロジェクトを数個経験し、お客様の事情を理解しないシステムの提供に無理があると悟りました。
人を仲介すると知りたいことが聞けない
エンジニアといえば、開発拠点にこもって毎日パソコンに向かって仕事をしている人は多いと思います。
営業の人や企画の人と打ち合わせをするのは一部の限られた上層部の人であり、ましてやお客様のところに顔を出す機会が少ない人も多いでしょう。
僕はまさにそのタイプでした。
営業の人とディスカッションするとか、お客様に出向くのは自分の仕事じゃないと思ってました。
ところがそうなると、営業や企画の人が聞いた要望を「間接的に」聞くことになります。
仕様を決めるに当たって
僕:「こういう使い方になると思うので、このような仕様でいいでしょうか?」
営業:「顧客に確認します。」
というやりとりをします。
もちろん、営業だからといっていつでもお客様に会いに行けるわけではなく、数週間後、時に1,2ヶ月後に答えが返ってきます。
営業:「お客様は、それで大丈夫だと言っています」
僕:「それは良かった。その仕様で進めます。」
とまぁ、こんな感じで作るんですが、できあがって使ってもらうと想定していたお客様の使い方が全然違ったりします。
質問した仕様の部分はもちろん、それ以外もダメだったりします。
要は、人を仲介して質問に行ってもらっても子供の使いのようになり、本来知りたいことを持って帰ってくれていないということです。
お客様に向き合えるようになる
こんなことを繰り返していてもなかなか本当のお客様の困りごとを聞くことはできません。
お客様との窓口になっている人にはもう少しこちらの聞きたいことを理解してほしいと思うものの、彼らはシステム構築のプロではなく、あくまで営業パーソン。
どうがんばっても、技術者が求めることを正確に伝えることなどできません。
そうなると、自分で言って聞いた方が早くて確実!という気持ちになります。
そう思って、自分でお客様のところに出向くようになりました。
ところが、そうやってお客様に話しを聞きに行くと、僕が聞きたいこととは全く別の課題をあれこれ言われて、「ええ?今まで聞いていることと違う!」ということにちょくちょく遭遇します。
実際問題、お客様の課題を正しく拾うのは難しいんですね。
対応するお客様も、営業の人が対面していた人と、僕が話を聞くような現場の人では、そもそも困りごとのレベルが違う、という問題もあります。
とにかく、自分で聞くと情報の正確さが違うことを実感します。
お客様のところに行くには準備が必要
直接お客様のところで話を聞くようになるには、それなりに準備が必要です。
準備というのは、何を聞くかとかそういうことの他に、お客様との話し方や、質問の仕方などのビジネス的な基本スキルに加え、担当者がやっている業務への理解する力や、困りごとを把握する力などが求められます。
こういったものは一朝一夕には身につきませんので、時間をかけて少しずつ身につけておくことが必要です。
僕自身エンジニアとしてやっていたので、最初はお客様のところに行っても必要な質問ができずに戻ってから再度聞かなければならないこともしばしばでした。
あとで聞くというのはお客様にとっても面倒ですしすぐに答えが返ってきません。質問内容を上手に伝えることも難しいです。
その点で、どれだけ現場できちんと情報を把握しておくかが大事になります。
その力を身につけるためにも、技術以外の本を読んだりセミナーに参加して知見を広げておくと良いです。