相手に理解される文書を作るには
エンジニアはいろいろな人に向けて文書を書く必要があります。
ついつい、誰もが同じ理解をしている前提で書き始めることがあります。
そしてその資料で説明し始めて初めて、「それどういう意味?」とか「そもそもどういう目的のものなの?」と聞かれるなど、全く説明が通じないことがあります。
原因は、説明する事柄に対して共通の知識や理解がなくて、話が全くかみ合わないということが起きていることです。
考えていたよりも、もっともっと初歩のことから説明しなければならなかったと気づくことがあります。
同じ組織の人であっても、エンジニアであれば技術用語がそのまま伝わったとしても、部門長のようにマネジメントをしている人にはその理解ができない場合もあります。
ましてや、営業の人に説明するのであれば、技術用語はまず使ってはいけませんし、もっともっとわかりやすい表現をしなければ伝わりません。
どういう知識を持っている人か、その人に自分が伝えるべきことをどうやって伝えるか、それを考えて文書を作る必要があります。
理解のためには共通のスタートに立つ
人に説明をしたとき、ポカンとされるのであれば、それは相手が理解できる共通のスタートラインに立っていません。
そういうことは友達との間でもあるでしょう。
話し始めてしばらくして「それ何の話?」と聞かれて「○○のことだよ」と言って初めて伝わったという経験は誰しもあるでしょう。
友達ならそれでもいいのですが、ビジネスの場でそれをやってしまうと、「最初にそれを説明しろよ」と責められたりするので注意が必要です。
そのためにも「相手はどこまで理解している人か?」をよく考える必要があります。
ところがはじめて会うような人の場合だと、相手がどれだけ理解しているかはわかりません。
そういう場合は、自分が話そうということに対してどのくらい理解している人なのか、相手の人とつながっている人に確認する必要があります。
「このくらいまでは話してあるから大丈夫」とか「何も知らないからその前提で話した方がいいよ」というような情報を得ておくのです。
その上で説明資料や説明内容を考える必要があります。
エンジニア同士であっても前提は重要
同じ組織のエンジニアに説明する場合に、普段から意思の疎通もしているなどの理由もあってついつい最初の説明をはしょりがちですが、それもいけません。
同じ仕事をしている=説明をはしょっても大丈夫
ということにはなりません。
僕も昔ついつい「わかっているだろう」と思ってディスカッションを始めたことがありましたが、「何の話をしたい」ということきちんと説明することが必要だということが結構ありました。
しばらくしてから、「これってこういうことを話していたんじゃないの?」と想定外のことを言われ時間を無駄にしたことが何度かあったからです。
会議にしろ、ドキュメントにしろ、ある程度進めなければ理解できないようでは、効率が悪い。
最初に「この資料はこういうためのものです」と書いておいたり、「今日はこういう話をしてゴールは何です」と話しておけば、スタート時点でズレを小さくすることができます。
書籍も同じですね。はじめにのところで、「この本は○○な人が、△△できるようにするために書きました」というように、誰にどんなことで役立つかを明確にしてあります。
それと同じです。目的を明確にすることが大事になります。
部門長や企画の人向けの資料
部門長や他部門の人、例えば開発とは異なる企画部門の人などに向けた説明資料では、エンジニア向けのものよりもっともっと概念的な話にする必要があります。
概念的というと語弊があるかもしれませんが、技術的な説明は後に回し、1段2段抽象度を上げてまずは概要を理解してもらえる文書にする必要があります。
詳細を求められたらもっと詳しく説明していくような構成になります。
それでもエンジニアに説明するような詳細説明は不要で、わかりやすい言葉を選ぶ必要があります。
一般的な技術用語や部署内の共通用語を除けば、専門用語を使わない意識は必要です。
※相手が理解している限りは専門用語を使った方が誤解が少ないことはあります。
特に部門長に報告する際などは、いかに短時間で問題点を理解してもらうかが重要になりますから、問題点を的確に説明し、なぜ、どうしてこれで解決するか、という論理的筋道に力を入れる必要があります。
営業の人への説明資料
営業の人への説明資料は本当に難しいです。
僕は営業の人はエンジニアとは別人種と思うくらい違うなと思うのですが、彼らは「技術は知らなくても理解は正確」です。
全く技術的なことはわからない人であっても、商品説明となると間違いません。
それどころか、エンジニアにではできないようなレベルで「上手」に製品の特徴を説明したりします。
「そういう表現があるか!」と感心するくらい上手にまとめます。
いかにお客様に理解しやすいかを突き詰めた説明なんです。
こういう営業の人に説明にするには、細かいことは不要です。
「お客さんにとってはどうなのか?」という目線の説明がとにかく必要です。
うまく伝えれば心強い存在です。