計画の甘さがプロジェクトを遅延させる
プロジェクトマネージャであれ、チームリーダーであれ、担当者であれ、必ず計画を出す必要に迫られます。
計画とは、いつまでにどのようなステップを踏んで目的とする仕事を実現できるのか、ということです。
そのポジションに就いてからの時間が短い場合、経験値がないために見積が甘くなりがちです。
甘くなるとは、できあがりまでの細かいステップを考えずにだいたいの感覚で出してしまうことです。
一人一人の担当者が現実味のある計画を出さなければ、それを積み上げた全体の計画も不確かになります。
そして、実現までの大変さが見極められていないため、仕事の着手が遅めになってしまったり、仕事に着手しても楽に進むと思っていたり、予期せぬ問題に遭遇して立ち往生してしまうことも発生します。
つまり、計画が甘ければ、その後の仕事の進捗にも影響を与え、結果として計画通り進まないことになり、残業でカバーしたり最悪計画変更しなければならない事態に陥ってしまいます。
現実に即した計画を立てるためにはどうしたらいいのでしょうか?
プロジェクト成功のキーポイントを見極める
確かに計画を立てるのは難しい。ついついざっくりと期間だけを考えがちです。
「この仕様なら、○○ヶ月ですかね。」
といった具合です。
この計画の背景に緻密な計算があればいいのですが、そうではなくて感覚的に答えるケースも少なくなく、それが上に書いたような大きな問題になります。
緻密な計算とは何かというと、この仕様を実現するために「何をどのように解決して実現するか?」ということを見通すことです。
こういう技術を使ってこのように実現できそうだ、という仮説を立てたら、本当に実現できるのかを見極めます。
自分がすでに実現性がわかっていることは問題ないですが、そうではない新しい技術やサービスを使うのであれば、本当にやりたいことができるのか?ということを調べることです。
そのひと手間をかけるかどうかが大きな差を生みます。
技術検証も緻密にやる
新しい技術やサービスを使って事前に実現性を検証するとき、機能の一覧で確認するとか、少しサービスをかじってみる程度では不足です。
実際にやりたいことを実現してみる、という姿勢が必要です。
なぜかというと、プロジェクトを進めていって技術的な課題にぶち当たるとき、「事前に調べてできると思ったんだが、実現したい機能には適さなかった」ということが見つかるケースが少なくないからです。
つまり、実現性を検証する場合も、できるだけ現実で必要とされる機能が達成できることを確かめることが必要です。
「いやいや、そこまでやるのは無理でしょう?」
という声も聞こえてきそうですが、そこまでやるかどうかが成否の分かれ目です。
見積で8割の仕事を終わらせる
多くのプロジェクトの成否は、事前に問題箇所を把握して解決策を考えているかどうか、ということに尽きます。
もちろん、新たな技術開発やブレークスルーがないと実現できないプロジェクトがありますので、すべてのプロジェクトとは言いませんが、既存技術の組み合わせでやろうとするほとんどのプロジェクトでは、問題点を事前に解決できているか、で成否が決まります。
このことは、中嶋聡さんが書かれた「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」という著書に書かれていて、僕も非常に共感して読みました。
計画段階で実現すべきことの8割はできあがっている、ということです。
つまり、できない問題はないことがあらかじめ見通せている状態です。
だからこそ「いつまでにできます」と自信を持って言えるようになります。
残りの2割の仕上げを時間をかけてやるということです。
こうなれば失敗はないのです。
ぜひ中島さんの著作を読んでいただけると得られるものは多いと思います。
自分にとっての課題をクリアする
若かりし頃、勘に頼った見積を出し、実際に進めるとさまざまな課題にぶち当たって計画がどんどん遅れていました。
まさに出たとこ勝負の開発をしていました。
そんな開発をしていたのでは計画通りに行くはずもありませんし、自信のある発言もできるはずもないのです。
周りができると言っているからとか、枯れた技術を使うから大丈夫、ということではなく、自分にとっての課題をクリアしておくことが大事です。
他の人はすでにそのスキルをマスターしているかもしれません。
ところが、自分にそのスキルがないなら身につけないといけません。
経験値がないなら、その分事前に経験してみることが必要です。
自分に与えられた仕事に対して、不明な部分があるならなるはや着手して解決しておく、その姿勢が自分を助けることになります。