今やAI(人工知能)が花盛りです。
どこもかしこもAIをやってますとアピールしたい状況になっています。
しかし、AIを使っていますと謳っておきながらも、実はどう見てもAIじゃないよね?というサービスがあることも事実です。
従来と同じ方法でロジックをプログラミングしただけなのに、AIを使ってますと言っているケースも実は少なくないのです。
あるいは、自動化しただけなのにそれをAIと読んでいるケースもあります。
AIの目的は何なのか?
AIの応用範囲は広いと思いますが、人間より速く正確に判断できるという能力を生かすことです。
人手でやるより速く正確にできるから、省力化ができその分を別の仕事に振り分けられるのです。
この使い方に沿ってやることがAIを活用していることになるのです。
AIは何でもできると夢を見てはいけないのです。
AI(人工知能)とRPA(ロボット化)の違い
よくAIと混同されるものに、RPA(アール・ピー・エー、ロボティック・プロセス・オートメーション)があります。
RPAとは簡単に言えば「自動化」です。
人の手でやっていることと同じことを、ほぼそのままパソコンのプログラムなどにやらせるのです。
たとえば、ある人は毎日こういうことをやっているとします。
メールを受信して、「注文依頼」という定型フォームのメールがあったら、添付ファイルのエクセルを開いて「商品」と「数量」を切り出して発注用のエクセルファイルに転記する。
これを人手でやると専任の人を配置しなければなりませんが、決まった作業なので機械化できる可能性があります。
この一連の作業をパソコン上で覚えさせて自動的に実行させるのです。
こうやって自動化するのをRPAと呼ぶのです。
AIは定型じゃないものに対応する技術
一方のAIは何かというと、一定のパターンでは実施できないものを判別することに利用します。
コンピューターというのは常に同じ処理をするのは得意です。
工場の生産ラインのように、同じ方法で製品を流れ作業で作ることなどです。
常に同じパターンで動けばいいのです。
ところが、同じ生産ラインの工程でも、最終段階で不良品を発見する、となるといきなり難しい問題になります。
形が規格外だったり、梱包の一部がダメだったり、そういう判断をしたいとき、人の目が必要になります。
この人の目の代わりをするものが、AIのひとつであるわけです。
AIは画像認識が得意
AIが活用できる分野のもっとも大きなものが画像認識です。
たとえば、工場での生産ラインで言うなら
完成された製品の梱包がおかしいものを選び出す
製造したお菓子の不良品を発見する
というものがあります。
他にも、手書きの文字のように、それぞれ個性がありどれとして同じではない文字を認識させたいときなどにも、AIは使われます。
データを扱うのがAIなので、画像認識だけが強みではありませんが、画像認識は応用が多いので使われる事例としては多いです。
AIは人より速いが正答率は落ちる
AIは優秀なのですが、万能ではないし、完璧でもありません。
たとえば画像認識をさせたとしても100%の精度で識別することはできません。
どういう画像を学習させてどう判断させたいかによるのですが、精度を100%に近づけていくのはなかなか難しいことです。
60%でも70%でもいいから、人手でやるより速い、ということをゴールとしてAIを活用しましょう。
精度が上がらない残りの30%〜40%は人がカバーするのです。
それでも、すべてを人手でやることを思えば十分に効率化される結果になります。
AIを使うには大きな投資が不可欠
自社の経営に生かすためにAIを作るのであれば、それなりに投資が必要です。
なぜなら、AIは自社の業務にとても密接で超カスタマイズされたものだからです。
生産ラインの梱包ミスを発見したいなら、梱包ミスのある状態の写真を数百枚(もしくは数千枚)と読み込ませて学習させる必要があります。
一度でうまくいくことは少ないので、何回もやり直しが必要になります。
こうしてAIは判断ができるようになるのですが、できあがったAIは自社システムの判断にしか使えないものです。
これはすなわち、他社のシステムを持ってきて自社のところで動かすことなどできないのがAIなのです。
その点で、AIとは自社システムにしか使えない超カスタマイズされたものなのです。
その分だけ、構築に時間とお金がかかります。そして、AIの専門職の人たちが数ヶ月かけて作るのです。
安く構築することなどできません。
そして、精度を上げるためにもAIは学習させる必要があるので、構築後も学習を続けて行く必要があります。
構築するにも、構築したあともお金がかかるのです。
AIとは金食い虫なのです。それを心しておきましょう。